2017年02月02日

婦人科がん手術後にコーヒーを飲むとおならが早く出る

傍大動脈リンパ節まで郭清された後、手術の翌朝から1日3回コーヒーを飲むと腸の動きがよくなってよいそうだ。

参考文献。

この study では、コントロール群56名、コーヒー群58名で random 割り付けをしており、手術は全て同一のチームで行った、とある。術後、コントロール群が最初におならをするまでの時間が平均40時間程度だったのに対し、コーヒー群では、30時間と短縮された。

余談だが、記述統計をみると、Ethanol use が全群を通してたった1名しかいないのはイスラム圏のトルコの study だからだろうか。コーヒーは全て Nescafe Alegria という機械を用いて入れたというのもなんだか楽しい研究だ。研究者もきっとこれでこっそり自分用のコーヒーを入れて飲んでいたに違いない。

厳密にこの study を行うなら、control 群は「no treatment」よりも、味も見た目も香りもコーヒーと全く同じだが、実はただのお湯であるという液体(Placebo)を飲ませ、かつ double blind 試験とする方がなおよいが、そんなことはもちろん不可能だ。進行がん患者が、手術の翌朝からコーヒーを1日3回くらい飲んでもとくに悪いことはなく、むしろよいことかもしれない、ということがわかれば充分だろう。
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2016年10月02日

学術雑誌にも振り込め詐欺が

論文をひとつ書くと、様々な Journal から、「うちでもひとつ書いてくれ」という依頼の email が多数舞い込んでくる。自分の論文が注目されたのかな、などとうぬぼれる前に、依頼をしてきた出版社のホームページをよく読んでみると、目立たない場所に例えば「Open access 形式の journal のため、出版には $2,000 が必要」などと書かれていることがある。極端な場合は、それすら書かれておらず、投稿の段階で金銭を要求されることもあるようだ。

Open access そのものが悪いわけでは無論ない。しかし、それを悪用するのは詐欺である。

コロラド大学の Jeffrey Beall という人が、そのような悪質な出版社および Standalone journals をリストにし、公開している。「悪質」の定義はここ(pdf)で細かく記載されている。

悪質な出版社の中には、例えば Omics international という出版社がある。この出版社からは例えば Gynecology & Obstetrics という Journal が出ている。Omics international のホームページを調べてみると、Gynecology & Obstetrics の Journal Impact Factor は 1.52 とされ、ご丁寧に Citations report などいう紛らわしい記載まであるが、これらはもちろん我々におなじみのトムソン・ロイターによる Impact factor とも、Journal Citation Reports とも関係がなく、Omics international が独自の方法で点数をつけているものだ。確かに怪しげである。しかし、この出版社が Jeffrey Beall にこき下ろされている点は、急速に他社や雑誌を買収して傘下に入れ、本来は学術的であった journal を「incorporating them into mega-fleet of bogus, exploitative, and low-quality publications(とてつもなくインチキで、搾取的で、質の低い出版に引きずり込んでいる)」からだ。この出版社から出ている多数の journal の Editors in chief のページを見ると、高名な日本の学者も名を連ねている。Omics international の傘下に入ったからといってすぐに journal の質が落ちるわけではないだろうが、彼ら editor は、出版社からの利潤追求のプレッシャーと戦いながら仕事をしているかもしれない。

また、怪しげなStandalone journals の中では International Journal of Obstetrics and Gynaecology Research という雑誌がある。これは、真面目な学会誌であるThe Journal of Obstetrics and Gynaecology Research と名称が非常に類似している。産婦人科関連では、他には例えば Journal of Research in Obstetrics, Gynaecology and Infertility という雑誌も挙げられている。

怪しげではない、Impact Factor がついている学術的な産婦人科関連雑誌のリストはこちら

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2016年07月27日

『婦人科がんの化学療法-改定第2版』

『婦人科がんの化学療法-改定第2版』を発行しました。

こちら



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2016年05月05日

卵巣がん検診の有効性にはいまだに議論がある

UKCTOCS は、閉経後女性の卵巣がん検診の有用性を調べたランダム化試験であり、約20万人を対象に、10万人を「検診なし」(コントロール群)、5万人を「経膣超音波のみによる検診」(USS群)、5万人を「CA125と経膣超音波併用による検診」(MMS群)の3群に分けて比較した非常に大規模な臨床試験である。この結果、Primary endpoint である卵巣がんによる死亡にはコントロール群に比較してUSS群およびMMS群に有意差は認められなかった。しかし、ランダム化後7-14年という長期予後に限定すれば、USS群で21%、MMS群で23% mortality を(計算上は)減らせるとされた。USS群よりもMSS群の方が false positive で手術を行われてしまう可能性は低い(USSで false positive が 50/10万、MSSで14/10万)。

この試験は、もちろん極めて有意義であるが、primary endpointで有意差が出なかったためにsubgroup解析を行っているところが苦しい。スクリーニングで卵巣がんを発見できたのが、USS群で51%、MMS群で59%しかないのも寂しい(つまり、卵巣がんであっても検診で半分近くは見逃す)。また、MMS群は、CA125を単純なcut-offでスクリーニングせず、「risk of ovarian cancer algorithm (ROCA)」というわかりにくい手法でスクリーニングしているという問題点もある。ROCAはAbcodiaという企業が行っているスクリーニングの登録商標で、triple marker検査のように内容についてよくわからない点もある。しかも、この論文の筆頭著者を含む著者らはAbcodiaの株主だと「Declaration of interests」にある。この論文の内容がもっと画期的なものであれば、Abcodiaとその株主たちは莫大な利益を手にしたことであろう。だが、有意義ではあっても画期的というほどではなかった。

日本では、多くの病院や診療所で行っている子宮頸がん検診で、「ついでに」経膣超音波も診ているのではないかと想像する。それなら上のUSS群(年1回の経膣超音波検査)に近く、今のところこれで充分ではないかというのが私の感想だ。
ラベル:臨床試験 検診
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2016年02月22日

子宮体癌にリンパ節郭清が有用かどうかは結論が出ない

子宮体癌に対し、リンパ節郭清をおこなうべきかどうかは長らく議論になっている。最近の Obstetrics and Gynecology に掲載された論文は、retrospective study ではあるが、15万例以上の子宮体癌I-II 期を対象にした大規模なものだ。その結果、重回帰分析および propensity score では、リンパ節郭清群では非郭清群よりもほんのわずかながら年生存率がよかった。しかし、操作変数法では有意差は認めなかった。つまり、未知の交絡因子が存在する、ということだ。

この結果の解釈は人それぞれである。私なりに解釈すると、リンパ節郭清と年生存率は相関するが、未知の交絡因子が影響するため、因果関係までは今のところ言えないということだろうと思う。つまり、リンパ節郭清群の年生存率が非郭清群よりもごくわずかによいからと言って、リンパ節郭清を行えば年生存率が改善するかどうかは不明のままである。この論文の著者らの結論は「Lymphadenectomy is associated with a modest, if any, effect on survival for women with endometrial cancer」となっている。


posted by Junji Mitsushita at 22:29| Comment(0) | 子宮体癌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月24日

産婦人科関連雑誌一覧

産婦人科関連雑誌(英文)のリストを作成しました。Impact factor 順に列挙しています。



続きを読む
ラベル:論文
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2015年12月31日

子宮頚管ペッサリーは早産予防に有効ではないかもしれない

数年前に子宮頚管ペッサリー(Arabin pessary)を Lancet で見た時に、これが有効なら頚管縫縮術はもうやらなくてよくなるのではないか、と思った。しかし、そもそも頚管縫縮術が早産予防に有効かどうか議論が分かれるところでもあるが、Arabin pessary もまた有効かどうか、その後に議論が分かれることになった。

最近の AJOG に掲載された論文では、双胎妊娠を対象に、Arabin pessary の有効性を待機群(無処置群)と比較しているが、早産率に差はなかった。
ラベル:早産
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2015年12月01日

婦人科学会カレンダー

婦人科関連学会カレンダーを作成してみた。→こちら

私の興味にもとづいてスケジュールを書き込んであるので、全ての婦人科関連学会を網羅しているわけではない。しかし、Google カレンダーを利用していれば、「マイカレンダーにコピー」をクリックすることにより簡単に予定をコピーできるので便利なのではないかと思う。

ただし、Internet Explorer では表示されない場合がある。調べてみたが、この問題は、今のところ誰にもどうしようもないようだ。


posted by Junji Mitsushita at 07:42| Comment(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月30日

プラチナ製剤抵抗性卵巣癌に対する Nivolumab の奏効率

免疫チェックポイント阻害薬である Nivolumab (オプジーボ)の、卵巣癌に対する第2相臨床試験の結果が発表された(参照)。対象は Platinum free interval 6カ月未満の卵巣癌で、奏功率は15%で、Disease control rate は45%であった。第2相臨床試験でのBevacizumab の奏効率が21%(参照)であったのと同等な成績にみえる。

現在のところ、プラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌に対する治療は、PTXなど非プラチナ製剤単剤+Bev が行われているであろう(AURELIA 試験、および拙著『婦人科がんの化学療法』)。Nivolumab の論文の著者らは大規模臨床試験を準備中とのことだが、AURELIA 試験で行われた Bev 併用療法と、Nivolumab 単剤療法を比較した試験を行うのだろうか。
posted by Junji Mitsushita at 13:57| Comment(0) | 卵巣癌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月15日

化学療法中の GnRH analogue 併用による卵巣機能温存

 化学療法中のGnRH analogue GnRHa)併用による卵巣機能温存は、ASCOのガイドラインでは、信頼に足るだけの根拠がない、としている(参照

  たしかに、Lymphomaなどの化学療法時にGnRHaを併用しても卵巣機能温存効果はいまのところ認めないようだ(参照参照)。しかし、乳癌を対象としている場合、meta-analysisでも参照参照)、第3相臨床試験でも(参照)、わずかな有意差ながら卵巣機能温存効果および妊孕性温存効果を認める。積極的に勧めるというほどの根拠でもないように思うが、何らかの理由で卵子凍結などの方法を行うことができない場合には、簡便なので試してみてもよいかもしれない、という程度のことは言えると思う。

posted by Junji Mitsushita at 21:41| Comment(0) | 婦人科がんの化学療法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月20日

子宮頚癌臨床進行期 FIGO 2008

子宮頚癌臨床進行期を表にしました。
→こちら

ラベル:臨床進行期
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2015年10月17日

GC 療法と GC + Bev 療法で OS に差はない

Platinum free interval 6 ヶ月以上の再発卵巣癌を対象に、GC(GEM + CBDCA)療法と GC + Bev 療法を比較した OCEANS 試験では、後者で Progression free survival (PFS)が延長した。その長期予後の結果が発表された(参照サイト)。それによれば、両群の Overall survival (OS)には差がなかった。


ラベル:臨床試験
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2015年10月11日

Amazon 売れ筋ランキング1位獲得

本日の時点で、拙著『婦人科がんの化学療法:基本方針とレジメン集』が、「Oncology」(洋書部門)の売れ筋ランキングで1位を獲得しました。→こちらを参照
posted by Junji Mitsushita at 22:13| Comment(0) | 婦人科がんの化学療法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

アジア系人種は胎児の頃から小さめ

外国人妊婦を診療する機会も増えている。なんとなく、白色人種の胎児の方が日本人(アジア系黄色人種)の胎児よりも少し大きいように感じていた。妊娠39週の推定体重では、やはりそういう傾向はあるようだ。黒色人種の胎児がアジア系よりもわずかながら小ぶりなのはちょっと意外ではあったが。

ラベル:胎児
posted by Junji Mitsushita at 09:16| Comment(0) | 産科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

子宮体癌臨床進行期 FIGO 2009

子宮体癌臨床進行期 FIGO 2009 を表にしました。
こちら
ラベル:臨床進行期
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2015年08月15日

再発卵巣癌に対する DTX + Bev レジメン

Platinum resisitant または partially platinum sensitive の再発卵巣癌に対する DTX + Bev 療法の奏効率は 57.9%、Disease control rate は 84.2% であった。

【レジメン】
DTX 40 mg/m2: day 1, day 8
Bev 15 mg/kg  : day 1
21-day cycle.

これだと21日毎に DTX 80 mg/m2 とやや量が多いため、日本で行うなら DTX 35 mg/m2 がよいか。

ラベル:臨床試験
posted by Junji Mitsushita at 14:49| Comment(0) | 卵巣癌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

治療の中途で PTX を DTX に変更しても末梢神経障害は改善しない

GOG-0218 試験は、卵巣癌の TC 療法に対する Bevacizumab の上乗せ効果を調べた臨床試験である。この試験の評価項目に入っていなかった末梢神経障害を retrospective に調べた。TC (+ Bev)治療中、末梢神経障害が出現した1329名中、多くはTC (+ Bev)療法を継続したが、32名が末梢神経障害を理由に PTX を DTX に変更した。DC (+ Bev)療法への変更群59名(うち32名が PTXによる末梢神経障害が理由)と、TC (+ Bev)療法群(大多数)で、その後の末梢神経障害の進行に差はなかった。

この論文の報告者達も discussion で認めているように、DTX への変更群の n が少なすぎるが、この結論は臨床的実感とは合致するように思う。職業上の理由などで末梢神経障害がとくに不都合な患者には、しびれが出てから PTX を DTX に変更するよりも、最初から DTX にしておく方がよいのかもしれない。

ラベル:臨床試験 副作用
posted by Junji Mitsushita at 14:07| Comment(0) | 卵巣癌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月30日

Adult granulosa cell tumor I 期は再発率が高いが、再発の有無で OS に差はない

Adult granulosa cell tumor の IA 期の TTR(Time to relapse)中央値は 16.2 年で、IC 期は 10.2 年であった。再発率は前者で 24%、後者で 43%であった。しかし、再発の有無で OS (Overall survival)には差がなく、いずれにしても良好であった。

この腫瘍の再発までの期間(TTR)はものすごく長い。そして長期間フォローすると、再発率は高い。被膜破綻は再発率には影響するが、最終的な予後にはあまり影響しないようだ。

ラベル:治療成績
posted by Junji Mitsushita at 19:33| Comment(0) | 胚細胞腫瘍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月27日

クランベリージュースは尿路感染症予防に有効か。

婦人科手術後、クランベリージュースのカプセルを1日2回服用したところ、術後尿路感染症を半分に減らせた(参照サイト)。
ラベル:婦人科手術
posted by Junji Mitsushita at 22:04| Comment(0) | 婦人科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

卵巣癌臨床進行期 FIGO 2014

卵巣癌臨床進行期(FIGO 2014)を表にしました。
ラベル:臨床進行期
posted by Junji Mitsushita at 21:38| Comment(0) | 卵巣癌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする